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選考対策

2024.05.30

【ケース面接対策】元総合コンサル面接官に聞いた中途・初心者が押さえるべき評価のポイント

【ケース面接対策】元総合コンサル面接官に聞いた中途・初心者が押さえるべき評価のポイント

ケース面接とは 

ケース面接とは、面接官が提示する課題に関して解決策を提案する形式で行われる面接です。時間が限られている中で転職を成功させるためには、評価されているポイントを押さえながら効率よく対策を進めることが必要です。 
今回はコンサルティングファームの面接官経験者にインタビューを行い、面接官の視点から何を見られているのかをお聞きしました。 

今回は特に未経験者の中途採用(コンサルタント~シニアコンサルタントクラス、以下C/SC)の面接経験のある方にお話を伺ってきたので、未経験でコンサルティングファームに転職しようと考えている方は要チェックです。 

ケース面接の概要について知りたい方はこちらの記事をご覧ください! 

※こちらの記事はnoteにも投稿しております。

プロフィール 

戸田雅之さん(仮名) 
大手総合コンサルティングファームの元マネージャーで面接官経験がある(退社済)。 
主にC/SCクラスの候補者の面接を行なっていた経験から今回のインタビューに答える。 

ケース面接では何が見られているのか?評価のポイントとは 

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ーー戸田さんはC/SCクラスの候補者の面接をされていたそうですね。 

戸田さん:はい、1次面接を担当していました。といっても、私がすべて見ているということはなく、1次面接の面接官は複数人のマネージャーが担当をしており、そのうちの1人だととらえてください。 

ーー面接官はどのようにアサインされるのですか? 

戸田さん:私のいたファームでは、という話にはなりますが、書類選考を通じて候補者の方の業務経験やコンサルタントして取り組みたい領域がわかるので、それに合わせて面接官がアサインされていたと思います。同じユニットでもマネージャーによって得意なテーマがありますから、それに合わせて、ということです。

これは候補者の方を見極めるというだけでなく、魅力訴求の目的もあると思います。まあ、日程調整の都合がありますから必ずそのようにマッチングしていたわけではないですけどね。 

 ーー1次面接はどのような流れで進むのですか。 

戸田さん:はじめに軽く自己紹介をお互いした後にすぐケース面接になり、これが面接時間の大半を占めます。その後は過去の経歴や志望動機などを深堀りしケースだけで見極められない要素を確認します。候補者の方からのご質問を受ける時間をとり、終了という流れですね。 

ケースは問いが数問あり、導入部としてフェルミ推定が含まれていることも何度かありましたが、私が経験した中ではいわゆる売上向上などを考えさせるようなビジネスケースが中心です。 

ーーケースのお題は面接官の方が自由に設定するのでしょうか。 

戸田さん:使うケースはユニットの中であらかじめ複数用意されており、その中から選ぶ形です。この用意されているケースは一定期間で新しいものに入れ替わります。これはケースの情報が候補者から転職エージェントを介して流出してしまうので、答えありきで過度に対策されないようにしています。 

複数のケースから実際に使うものを選ぶ際は、候補者の方の書類を見て決めています。ご経験と近いお題を選ぶこともありますし、あえて全く違うテーマのお題を出すことで知らないテーマでどれだけ考えられるかを見たいという場合もあり、目的によって変わります。 
ただもともとケースは面接官が作っていますから、実際にはほかの人が作ったものより自分が作ったものが一番やりやすいという思いは正直ありますが。 

ーー選考の評価の全てがケース面接で決まるのでしょうか。 

戸田さん:私の経験では「いいえ」です。私が経験した中では、ケース面接は所謂「足切り」に近く、ケースのできがすごくいいからといって合格にはなりません。 

つまり、必要最低限備えていてほしい能力の有無が判断されるのがケース面接、ファームへの適性などが判断されるのがその他の話の部分ということになります。 

もちろん各コンサルティングファームで評価基準は異なるとは思います。 

ーーケース面接で一定評価されることが必須だったということですね。では、どのようにすれば評価されるのでしょうか。 

戸田さん:私がケース面接を通して特に評価していたのは「思考の深さ」「思考の幅」「思考のスピード」でした。「地頭の良さ」とか「思考力が見られる」とか聞いたことがあるとは思うのですが、より具体的にどういう思考力をみられているのかまで把握しておくと面接が受けやすくなるのでは、と思います。 

ーー「思考の幅」とは何を指しているのでしょうか。 

戸田さん:与えられたお題に対し、幅広い観点から検討ができるかどうかです。勝手な先入観や思い込みから考えるのではなく、1つの事柄であっても複数の視点から検討する意識が重要です。前職などで専門にしている領域だけでなく、自分がよく知らない話であってもうまくシナジーを効かせながら議論を展開できると良いですね。 

前職で専門にしてきた領域や、専門にしたいと考えている領域に詳しいことは当然ながら重要なことですが、実際に働くとなるとそれだけでは活躍してもらえません。自分が知っていることを軸にしながら思考を行き届かせられるか、多角的に物事を捉えることができるかを測るようにしていました。 

ーーでは「思考の深さ」はどのようなものなのでしょうか。 

戸田さん:これは思考の幅がロジックツリーの横の広がりを指すとすると、思考の深さは縦のイメージです。大きな論点から突き詰めて考えていけるかどうかといってもいいでしょう。幅を広げたまま表面的な部分をさらって施策を提案するのではなく、そこから更に検討すべき点を特定し、深堀っていけるかどうかで差がつきます。これはクライアントのおかれた環境を想像する想像力も影響するでしょう。 

一方で、深く考えたうえで引いて捉えなおすことも重要なのです。具体的に考えられるだけでなく、それが当初の論点からずれていないか、目的に合致しているかは見失ってはいけません。 
ロジックツリーの縦を考えるのは具体と抽象を行き来することになるので、これらが大きな破綻なく考え続けられる思考体力がある人は活躍するイメージがあります。 

ーー幅と深さに加えて「思考のスピード」がありますが、こちらはどうでしょうか。 

戸田さん:思考の幅と深さを出力するためにどれくらい時間を要するかを見るものです。ただし、早く切り返すだけが良いことではありません。重要なのは先に話した思考の幅、深さをもって考えられることの方であると考えています。早く切り返すことができたとしても、思考が近視眼的で浅い施策になっているのでは意味がありません。 

もちろんスピードが速く質が高いことに越したことはありませんが、個人的には上げた3点の中でスピードは比較的鍛えやすい部類だと考えているので、長考するタイプの人であっても思考の幅や深さが伴っていれば1次は合格とする場合もあります。 

ケース面接で注意すべきポイントとは? 

ーーケース面接を受ける際には、何に気をつけるべきなのでしょうか。 

戸田さん:ありがちな失敗から考えると自分の考えに決して固執してしまうということでしょうか。面接官との議論の中で、面接官から論理に飛躍がある部分の指摘が入ったり、異なる見解を伝えられたりすることもあります。そんなとき、自分の考えに固執して議論を前に進めることができなかったり、やたらと反発して議論を終わらせてしまったりする人も少なくありません。そもそもケース面接は何か絶対的な正解があるものではなく、議論の過程を通じて思考力を見るものですから、そこを誤解しているのかもしれません。 

相手の意見を取り入れて改善していくことができなければ、入社後にプロジェクトの一員として仮説検証を通じてプロジェクトを前に進めていく、活躍するイメージを持てません。 

極端なことをいうと、誤った仮説を直さない姿勢は実際にプロジェクトに入った際に自分にとって都合のよい情報を集めるのでは、という懸念すら抱かせてしまいます。自分の誤りを認めたくないがために、クライアントに対して誠実にいられない可能性がある人は一員として迎え入れたくはありません。 

面接官の視点も取り入れながら、施策をブラッシュアップしていきましょう。 

ーー施策を発表するというよりも、面接官と議論をする意識が大切なのですね。 

戸田さん:そうですね。とはいえ、簡単に考えを放棄してほしいわけではないので、議論をする中で自分の考えのどこが誤っていたのか、どこでズレが生まれてしまったのかを検討し、改善することが重要です。半ば諦めるように簡単に意見を変えてしまうのも「思考力が低い」と判断します。議論を通じて新しい視点を持つことができ、深みが出てくると面接官としては好印象ですね。 

本当に大切なことは… 

ーー先ほどケース面接だけで評価が決まるわけではないと伺いましたが、他にはどのようなポイントがあるのでしょう。 

戸田さん:ケース面接以外の前職での経験や志望動機、価値観などのパーソナルな事項について聞かれる際にも先ほどお話したような思考力や思考体力、ストレス耐性、ファームとの適正などの項目は確認されているわけですから、それらを意識しながら選考に臨むと良いと思います。 

ーーさいごに、これから転職される方に向けてメッセージはありますか。 

戸田さん:趣旨から逸れてしまいますが、大切なのは「入社してから」どのようにパフォーマンスするか、どういうキャリアを歩みたいかであるのに、転職する時にはケース面接はじめ面接対策をしていかに入社するかに意識が向きすぎている印象です。 

もちろん入社できないことには話にならないのは確かです。ただ、今後の目指したいキャリアを考えたときに、自分のやりたいことと合致しているファームであるかは選考を受ける前に確認しておいてもらえると良いと思います。 
というのも、中途入社したメンバーと話している中で、そういう案件がやりたいのであればなんでうちに来たの?ということが意外とあるのです。大抵の場合、やりたいことができず退職していってしまうので、お互いに不幸だと感じます。 

なかなか内情が見えにくい業界ですが、丁寧に情報収集はしておくべきかと思います。 

さいごに 

面接官経験者の戸田さんに、ケース面接をはじめとした選考のポイントをお聞きしました。 

ケース面接の基本的な考え方を習得するのはもちろん重要ですが、評価されるポイントを意識した上で面接に臨むとより選考通過に近付くのではないでしょうか。 

ただやみくもに面接対策をするのではなく、入社後に自分が望むキャリアが歩めるように、ファームの情報収集から始めてみてください。 

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記事監修者:渡辺 貴明

メルセネール株式会社取締役。東京工業大学工学部卒業。
大学卒業後、独立系コンサルティングファームにて製造業のクライアントを中心に業務改革支援に従事。その後、アビームコンサルティング株式会社の戦略部門に転じ、経営戦略・事業戦略策定やM&A、新規事業開発、組織/人材開発に従事。
メルセネール株式会社では職業選択における情報の非対称性の解消を目指し、コンサル業界への転職者に向けたコンサルOB/OG紹介サービスGradsGuideを運営、事業責任者を務める。

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