選考対策
2024.05.28
【ケース面接対策】中途・初心者が押さえておきたいフェルミ推定とビジネスケースの基本
ケース面接とは
ケース面接とは、面接官が提示する課題に関して解決策を提案する形式で行われる面接です。主にコンサルティングファームの採用面接として実施されており、特に未経験でコンサルティングファームへの転職を希望している場合は対策が必要になります。
今回は事業会社で実施されることが少なく、特殊とも言えるケース面接でよく出題される「フェルミ推定」と「ケース面接」に焦点を当て、基本的な考え方から覚えておくべき事項までお伝えします。
フェルミ推定
フェルミ推定とは
一見求めるのが難しく思える問題を、具体的な数値や条件が与えられていない中で限られた情報を用いて論理的に数値を導き出すことです。例えば、「シカゴにピアノ調律師は何人いるか」「日本に電柱は何本あるか」という問題が有名です。
フェルミ推定の考え方
① 前提を確認する
何を概算することが求められているかを確認しましょう。例えば、「お茶の市場規模を求めよ」と言われた場合を考えてみてください。
まず、この問いは「どこ」における話なのでしょうか。日本国内の話なのか、世界全体の話なのか、何を求めるべきか前提を確認しておきましょう。また、「お茶」が指し示す範囲についても合意を取る必要があるでしょう。「お茶は緑茶を指し示しているのか、紅茶や烏龍茶も含むのか」「ペットボトル入りのお茶なのか、茶葉の状態で販売されている商品なのか」など、面接官と目線を合わせておきましょう。
② 与えられた問題を、数字が置ける段階まで分解する
今回はペットボトル入り緑茶飲料の国内市場規模を求めることとします。また、ペットボトル入り緑茶飲料も大きく「自宅で飲むような2Lのペットボトル」と「職場に持ち運べるような500mlのペットボトル」に分けることが可能です。実際には両方について検討する必要がありますが、今回記事では後者の500mlペットボトル入り緑茶飲料を取り上げます。
500mlペットボトル入り緑茶飲料の市場規模は(販売数量)×(単価)と分解できます。これを需要側からさらに分解すると、売上本数は(購入者数)×(1人あたり1度の購入本数)×(購入頻度)と表すことができます。
このままでは購入者数・1人あたり1度の購入本数・購入頻度に該当する数字を置くことは難しく感じられますが、年齢・性別・世帯人数などから更にセグメント分けすることで数字を考えやすくなります。例えば年齢や性別によっても購入頻度は異なるでしょう。10代・20代よりも30代・40代…と年齢層が上がるごとに緑茶飲料を選択する割合が上がる傾向にあるなど、セグメント別の傾向を計算に反映させることができます。
③ 数字を置き、計算する
まずは基本的な数字をおさえ、置いていきます。例えば日本人口や世帯人数別の割合など、前提となる数字は覚えておきましょう。
最低限覚えておくべき数字は以下の通りです。
【日本国内】
- 人口 12000万人(1.2億人)
- 面積 38万㎢
- 山地割合 70%
- 世帯数 5000万戸
- 世帯平均人数 2.5人
- 単身世帯割合 30%
- 企業数 360万社
- 大企業数 1.2万社
【世界】
- 人口 80億人
- 表面積 5億㎢
- 陸地割合 30%
わからない数字が出てきたら?
仮説を立てて、妥当だと考えられる数字を置いていきましょう。例えば上記表の「客単価」を正確に暗記している人はいないでしょう。しかし、「スーパーマーケットでは100円程度、コンビニエンスストアでは150円程度で販売されている」と考え、その割合が1:1程度であると考えれば125円と置くことができます。ただし、なぜそのような仮説を立てるに至ったのか、根拠をもって伝える必要があります。ただ計算しやすい数字を置くのではなく、なぜその数字を置いたのかを答えられるようにしてください。
ビジネスケース
ビジネスケースとは
主に経営課題を解決する形式で行われるケース問題です。ケース問題には、「ある地域の観光客を増加させるには」といったクライアントに政府・自治体が想定されている公共的な問題、「ダイエットを成功させるには」といった個人的な問題も含まれますが、「ビジネスケース」と言われるものは売上向上施策やシェア拡大施策などを考案することが求められるケース問題です。例えば「清涼飲料水の売上を向上させるには」「フードデリバリーサービスの利用者数を増やすには」などが挙げられます。
与えられた問いに対して、自身の知っている知識を用いて仮説を置き、構造分解を行った後に施策を提案します。
ビジネスケースの考え方
①前提確認
フェルミ推定同様、前提を確認しておきましょう。与えられる問いは厳密に条件が指定されているわけではなく、抽象的なままであることも多いです。
例えば「ある飲料水メーカーのペットボトル入り緑茶飲料の売上向上施策」の立案を求められたとします。この時、シェアが1位のメーカーと2位のメーカーでは施策は変わってくるでしょう。また、対象となる地域、期間、売上向上目標によっても打つべき施策が変わります。
この時、以下の点に考慮して前提を揃えていきます。
(1)クライアントは誰か
クライアントが誰であるかによって実施できる施策の幅が異なるため、面接官と目線を揃えましょう。例えば、クライアントの商品のシェアなど市場におけるポジションの違いや、提案する立場がメーカーなのか、卸売業者であるか、小売業者であるかによっても異なります。
(2)語句は何を示しているか
意味が曖昧な語句は事前に定義を定めておきましょう。
(3)目標は何か
「どこの地域で」「何年(何ヶ月)で」「どれくらいのインパクトのある」施策を打つべきなのか目標を事前に決めておきましょう。
②現状分析
課題を特定する前に、市場の現状を分析します。現状と目標のギャップを正しく把握することが施策立案の鍵となります。分析を行うために、構造分解を行っていきましょう。構造分解とは、物事の全体を部分に切り分けて整理を行うことです。
ただし、構造分解の仕方は1つではありません。需要側から分解することも供給側から分解することも可能であり、クライアントの性質や目標によって適切な方を選択しましょう。
①の続きを考えると、以下のようになります。
A社の売上=(ペットボトル入り緑茶飲料の市場規模)×(A社選択率)
=(購入者数)×(1人あたり1度の購入本数)×(購入頻度) ×(A社選択率)
また、「購入者数」に関しても更にセグメントに分解することが可能です。フェルミ推定と同様に、販売チャネル、性別、年代、職業によっても購入動向は異なるからです。施策立案を見越し、どのセグメントに課題(ボトルネック)があるか絞り込めるように分けていきます。
よくある例としては、3C分析、4P分析を用いる分解があります。しかし、同じフレームワークばかりを用いると適切な分析ができないことがあるので、使い分けや、場合によっては使わないという判断も必要になります。
3C分析は以下の観点から分析するフレームワークです。
・市場/顧客(Customer)→市場の拡大/縮小のドライバーは何か、顧客はどのような人でどのようなニーズを持っているのか、なぜ買うのか・何をもって選んでいるのか
視点の例:市場規模・成長性、主要な顧客セグメント、顧客ニーズ、購買決定要因
・競合(Competitior)→競合は市場にどう対応しているのか、成功している企業とそうでない企業は何が違うのか
視点の例:競合の売上・シェア、戦略、経営資源、商品特性などの強み弱み
・自社(Company)→自社は現在の市場/顧客・競合の状況の中でどのように戦っていくべきなのか
視点の例:売上・シェア、戦略、経営資源、商品特性などの強み弱み
③課題特定
現状分析で行った構造分解に基づいて、どこに課題があるのか仮説を置いて考えます。構造分解したことにより、当初与えられた課題が複数の課題でありうるファクターに切り分けられていることがわかります。例えば、売上を向上させるにも購入者数、1人あたり1度の購入本数、購入頻度ではどれを上げるべきなのか、また、特にどのセグメント(年齢や性別)に対して施策を打つべきなのかを検討する必要があります。
この時、①で設定した目標に最も近付くことができるように評価軸を定め、評価軸に合わせて選択します。評価軸は、例えば各課題を解決することによって得られるインパクトや課題解決の実行可能性などが挙げられます。
④施策立案
特定した課題を解消するための施策を考案します。複数施策を考案しても問題ありませんが、必ず設定した判断基準に基づいて優先順位をつけながら発表するようにしましょう。
そして、大切になるのは施策発表後の面接官との応答です。面接官からの指摘や応答を受け、最初に立案した施策を修正していきます。自分の意見に固執することは避け、柔軟に施策を更新し、議論を前に進めていきましょう。
まとめ
フェルミ推定・ビジネスケースを含むケース面接の考え方をお送りしました。難しく感じられたかもしれませんが、思いつきで施策を出すのではなく常に分解しながら思考を進めていくことで解決の糸口が見えてくるはずです。
特に未経験でコンサルティングファーム入社を目指す場合は対策が必須です。焦らず、コツコツと進めていきましょう。
※こちらの記事はnoteにも投稿しております。
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