コンサル業界特集
2025.05.30
コンサルにおけるパワポスキルの本質とは?資料作成の“質と深さ”を徹底解説

転職してコンサル業界に入ったら、まず求められるのが「パワーポイントでの資料作成スキル」です。でも、「見た目を整えることが大事なの?」「スライド職人で終わるのでは?」といった不安を抱えていませんか?この記事では、コンサル業界におけるパワポの役割や、実務で本当に必要なスライド作成のスキルについて丁寧に解説します。
目次
なぜコンサルではパワーポイントが重視されるのか?

パワーポイントは、コンサルタントにとって「提案の武器」であり「価値提供の手段」です。
コンサル業界では、クライアントに対してプロジェクトの分析結果や提案を伝える場面が頻繁にあります。その際、パワーポイントを使って「論点を整理」「解決策を提示」「実行計画を可視化」することが重要となります。
つまり、単なる見栄えの良さではなく、「情報をロジカルに構造化し、相手に伝わる形に落とし込む力」が求められるのです。
見た目以上に大切!ロジカルなスライド構成力とは?

「デザインが上手=良いスライド」ではありません。本当に問われるのは「論理的な構成力」です。
スライドの基本構成には以下のような型があります:
- 問題提起 → 原因分析 → 解決策 → 実行計画
- 仮説 → 検証結果 → インサイト → 次のアクション
- Before / After → メリット提示 → リスク対策
これらの構成を踏まえ、スライド1枚ごとに「そのページの主張は何か?」「どんなロジックでそう結論づけたのか?」が明確に示されている必要があります。特に、1スライド=1メッセージが基本。1ページで言いたいことが伝わるように意識しましょう。
実務で求められるスライド作成の比重と時間感覚

「コンサルの仕事って、結局スライド作ってばかりなの?」という疑問、よく聞きます。結論から言えば、資料作成の比重はさほど高くありません。
たとえば、ある戦略系ファームでは1日の業務のうち1割程度が資料作成に充てられるそうです。これは「資料を作りながら考える」のではなく、「考え抜いたことを紙に落とすだけ」だからです。
ただし、これもプロジェクトによることもあります。デューディリジェンスなどの場合、調査した内容は余すことなく紙に落としていきますから、そのような場合は大分状況が違うものと考えてください。
また、いわゆるキーチャートと呼ばれる1枚のスライドに数時間をかけることも珍しくありません。特にクライアント向け最終提案資料では、構成検討からレビューまで社内で何度も修正が入り、1枚仕上げるのに丸1日かかることもあります。
スライドの質を高めるために必要な3つのスキル

実務で通用するパワポスキルには、見た目の美しさ以上に“伝える力”が求められます。ここでは、特に重要な3つのスキルを紹介します。
① 論理的構成力(ロジカルシンキング)
スライド全体の流れや、1枚ごとのメッセージが論理的につながっているかを設計する力です。PREP法(Point → Reason → Example → Point)や、MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)の原則などを理解し、情報を整理することが求められます。
② 図解・視覚化スキル
パワポでは「文字よりも図で説明できるか」が鍵です。業界構造図、プロセスフロー、マトリクス、グラフなど、複雑な情報を瞬時に理解させるために図解力は不可欠です。特に、「どんな図を使うと伝わりやすいか?」を選択できるセンスが求められます。センスというと大げさですが、基本的なパターンを理解することで飛躍的にできるようになる部分であるとも筆者は考えています。
③ メッセージの抽出・表現力
実務では、Excelなどで分析したデータから「結論は何か?」を素早く抽出し、それをスライドに落とし込む力が求められます。単なるデータの貼り付けではなく、「だから何?(So What?)」まで表現できるスキルが評価されます。
実務で活きる!パワポを“使いこなす”ための具体テクニック

ショートカットは必須!作業スピードを飛躍的に上げる技術
コンサルの現場では、1分1秒を争うスピード感のなかで資料を作成する必要があります。そのため、パワポのショートカット操作は「できて当たり前」の前提スキルです。本質的ではないのですが、特に若手のうちは早く作れると残業時間に効いてきます。。。
以下は、最低限押さえておきたいショートカット例です
- 【Ctrl+D】:図形やテキストの複製
- 【Alt+N→S→H】:SmartArtの挿入(階層構造などに便利)
- 【Ctrl+G】:オブジェクトのグループ化
- 【Alt+Shift+矢印】:オブジェクトの微調整移動
- 【Ctrl+Shift+C / V】:書式のコピーと貼り付け(図形の色や線などを一括転送)
これらを“無意識レベル”で使いこなせるようになることで、1日の作業効率は2倍以上に跳ね上がります。
伝わる図解には“型”がある!汎用テンプレート思考を身につけよう
視覚的に伝わるスライドを作るには、「どんな情報にはどんな図を使うべきか?」という図解の“型”を知っておくことが大切です。
たとえば、
- プロセスの流れ → 矢印フロー図
- 全体と部分 → 円グラフ、ピラミッド図
- 優先順位 → 2軸マトリクス、バブルチャート
- 比較・対比 → テーブル(表)、縦棒グラフ
これらの型をストックしておくと、内容に応じて最適な表現方法をすぐに引き出せるようになります。
スライドに“物語性”を持たせる構成術
上司やクライアントが「なるほど!」と納得する資料には、情報の流れにストーリーが存在します。
以下の3ステップを意識するだけで、論理構成の質がグッと上がります
- 課題の明確化(現状の違和感を言語化)
- 根本原因の特定(なぜ?を繰り返す)
- 解決策の提示(施策とその効果をセットで)
スライド1枚ごとの完成度も大切ですが、全体として「読み手を納得させ、アクションを起こさせる流れ」になっているかを俯瞰する力が求められます。
「スライド作り=スキルが身につかない」という誤解

資料作成ばかりの日々に、「スライド職人で終わってしまうのでは?」という不安を抱える方は多いかもしれません。でも、それは一面的な捉え方です。
資料作成に必要なスキルは、実は以下のように応用可能です
- 事業企画や経営企画職での構想資料作成
- 社内プレゼンや投資家説明の構成作成
- スタートアップでの提案資料作り
つまり、パワポスキルは「構造化」「論点整理」「仮説思考」といった、あらゆるビジネスシーンで求められるスキルの塊なのです。
資料作成から一歩先へ!提案力・戦略思考を育てるためのアクション

コンサルでの経験を活かして、さらに上流の思考力を磨いていくためには、以下のような習慣が効果的です。
① 上司のフィードバックを「構造」で分析する
レビューのたびに指摘される内容を、「どんな構造や視点が不足していたのか?」という観点で振り返りましょう。単なる修正依頼ではなく、「思考のクセの修正」が行われていることに気づくはずです。
② 案件の目的を常に意識する癖をつける
資料を作る前に、「このプロジェクトのゴールは何か?」「クライアントが最も知りたいことは何か?」を明確にすることで、メッセージ性のあるスライドが作れるようになります。目的から逆算する力が、提案の質を大きく左右します。
③ パワポ以外の学習で視野を広げる
戦略思考を磨くには、パワポだけでなく以下のような知識・経験を並行して身につけるのが有効です:
- フレームワーク(3C、SWOT、ロジックツリーなど)の理解
- 財務や業界知識(IR資料の読み解き)
- 他社提案書の分析やケーススタディの実施
これらを意識することで、資料作成を“思考のツール”として扱えるようになり、プレゼンスも格段に高まります。
理想のキャリアを実現するための第一歩を
ここまで、コンサルにおけるパワーポイントの役割と、資料作成スキルの本質について解説してきました。
記事の振り返り:
- パワポは単なるツールではなく、思考の深さと提案力を形にする手段
- スライド作成は“やらされ仕事”ではなく、ロジカルシンキングを磨く訓練の場
- 見た目ではなく、「相手に伝える・動かす」ことを重視した資料作成が求められる
- 実務で使えるショートカット・図解・構成術を学び、戦略的思考力へと昇華させることが可能
資料作成に追われる毎日でも、それはあなたのキャリアを支える“土台作り”に他なりません。思考力・提案力を磨いていけば、より高いポジションや異業種へのキャリア展開も現実のものになります。
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